マイホームを売却して譲渡損が発生した場合の特例
最近、周りでマイホームを購入したという話をよく聞きます。
また、お子様が大きくなり今のマイホームが手狭になってきたので買い換えた、お子様が結婚し夫婦2人となったためマイホームを買い換えた、という話もあります。
マイホームを購入した時に税金を安くする方法として住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が有名ですが、
「売った時はどうなるのだろう?税金を安くする方法があるのだろうか?」
という事で今回は、マイホームを売却した時(譲渡損が発生した時:益が発生した場合は今回は割愛させていただきます。)の税制についてお話させていただきます。
通常、不動産を譲渡し損が発生した場合、給与や事業等の所得と合算(通算)する事はできません。
不動産の譲渡損 1,000万 給与(所得) 1,000万 でも税金計算上は 1,000万で計算します。
しかし、マイホーム(居住用財産)を譲渡し一定の条件を満たす事で他の所得と通算する事ができます。
(控除しきれない場合は一定要件を満たせば損失発生年の翌年以後3年間にわたり繰越控除が可能)
2つの税制をご紹介させていただきます。
① マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3370.htm
(国税庁HPより)
詳細は国税庁HPを参考にしていただきたいのですが、
主な適用要件として
「譲渡資産」
・1/1における所有期間が5年超の居住用財産(国内)
<注> 譲渡資産には住宅借入金等の要件はありません。
「買換資産」
・取得:床面積50㎡以上の居住用家屋またはその敷地(国内、譲渡年の前年1/1~翌年12/31までに取得)
・居住:取得年の翌年12/31までの間に居住または居住見込み
・住宅借入金等:買換資産の取得年12/31において買換資産にかかる償還期間が10年以上の住宅ローンを有する。
(譲渡資産には住宅借入金等の要件はありません。)
とあります。
「対象金額」
・譲渡損失の金額(内部通算後)
例) 10年前に4,000万円で購入したマイホーム(国内)を3,500万円で譲渡。
譲渡金額と住宅ローン(償還期間20年)を基に今年に居住用家屋(80㎡)を取得、居住。
給与所得 1,000万円。
※ その他要件は満たしているものとします。
(要件)
譲渡資産 (5年超他OK)
買換資産 (取得、居住、住宅ローン OK)
(損失金額)
4,000万-3,500万=500万
(損益通算)
1,000万-500万=500万
② 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
http://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3390.htm
(国税庁HPより)
主な適用要件
「譲渡資産」
・1/1における所有期間が5年超の居住用財産(国内)
・譲渡締結日の前日にそのマイホームにかかる償還期間が10年以上の住宅借入金等の残高あり。
・マイホームの譲渡価額が上記の住宅ローンの残高を下回る。
「買換資産」
・要件ありません。
「対象金額」
・譲渡損失の金額(内部通算後) と 借入金等の残高-譲渡対価 のいずれか低い金額
例) 10年前に4,000万円で購入したマイホーム(国内)を3,500万円で譲渡。
譲渡契約前日において、居住用財産にかかる残高3,800万の住宅ローン(償還期間20年)があった。
新たに居住用不動産の取得予定なし。
給与所得 1,000万円。
※ その他要件は満たしているものとします。
(要件)
譲渡資産 (5年超OK、住宅ローンOK、譲渡対価 3,500万円が住宅ローン残高 3,800万円を下回る OK)
買換資産 (要件なし)
(損失金額)
いずれか低い金額
4,000万-3,500万=500万
3,800万-3,500万=300万
よって 300万
(損益通算)
1,000万-300万=700万
以上となります。
合計所得金額が3,000万円を超えると損益通算を受ける事ができない、
マイホームの売主・買主が親族等特別な関係にある場合、譲渡年の前年・前々年に一定の居住用財産の特例を適用している場合には損益通算及び繰越控除が適用できない
等、細かい要件もありますのでマイホーム売却の際(購入も含め)はお気軽にご相談ください。
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30代税理士 竹下 和彦