起業時・法人設立時に適用しやすい? 所得拡大促進税制②
具体例をあげて説明致します。
① 時期
26年3月決算の中小企業
② 国内雇用者(役員を除く従業員・日雇い労働者含む)に給与、賞与等5,000万円を支給。(雇用者給与等支給額 26年3月期)
(平均給与等支給額)
日雇い労働者に対する支給額 500万円
5,000万円-500万円=4,500万円
年間の雇用者数 月12人 (うち日雇い労働者2人とする。)(毎月人数の変動はないものとする。)
(12人-2人)×12月=120人
4,500万円÷120人=37.5万円
(基準雇用者給与支給額)25年3月期 4,500万円
(雇用者給与等支給増加額)
5,000万円-4,500万円=500万円
(適用事業年度の雇用給与等支給額-基準雇用給与等支給額)
(比較雇用者給与等支給額)
4,500万円(25年3月期 ※ 毎年変わります。)
(比較平均給与等支給額)
日雇い労働者に対する支給額 450万円
4,500万円-450万円=4,050万円
年間の雇用者数 月10人 (うち日雇い労働者1人とする。)(毎月人数の変動はないものとする。)
(10人-1人)×12月=108人
4,050万円÷108人=37.5万円
(税額控除適用前法人税) 500万円
③ 要件
【要件①】雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること
500万円/4,500万円=11.1%≧5%
【要件②】雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
5,000万円≧4,500万円
【要件③】平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であること
37.5万円≧37.5万円
④ 税額控除額
500万円×10%=50万円≦500万円×20%=100万円
と50万円の税金が安くなります。
題名にもありますように雇用促進税制と異なり起業時・法人設立時(初年度)から適用が可能です。
事業開始から1年目、2年目あたりは従業員様を雇用する機会が多いかと思います。
??
ただし、前期の給与額を使用するので1年目は適用できないのでは??
→ 1年目の基準雇用者給与支給額は、事業を開始した事業年度の雇用者給与等支給額の70%に相当する金額とする
という特例があります。
(ただし、事業を開始した事業年度の月数が適用事業年度の月数と異なる場合は12か月あったものとして計算します。)
25年7月に3月決算法人を設立し1,000万円支給した場合:1,000万円×12/9×70%=933.3万円
25年4月設立の3月決算法人であれば 1,000万円×70%=700万円
12か月の事業年度であれば何もせずとも30%給料を増やした計算になるので適用が受けやすくなるのがお分かりかと思います。
(700万円→1,000万円)
なお本制度は助成金との併用は可能ですが、雇用促進税制とは選択適用となります。
開業、法人設立1から2期目の個人事業主様、法人様は特に制度が適用できるか検討してみてはいかがでしょうか?
制度について不明点等ありましたらお気軽にご質問等くださいませ。
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30代税理士 竹下 和彦