「半沢直樹」に学ぶ融資業務
「半沢直樹」面白いですね!
過剰な演出、無茶な設定という感は否めませんが融資業務についての勉強にもなりますしストーリーや堺雅人をはじめとしたキャラの演技に引き込まれます。
(リーガルハイの弁護士役といい知的で癖のある役が似合いますね。)
税理士は出てきませんが普段、宇梶剛士演じる東田社長やラサール石井経理部長等とお会いし決算書、申告書を作成します。(残念ながら壇蜜には会いません。。)
それを直接・間接的に銀行に提出します。(粉飾決算はもってのほかです!!)
銀行員、経理関係、不動産関係、税理士等は馴染み深いためすっと入りやすいですが、一般の方は「通常聞きなれない用語が多いため難しい。」かと思います。
今回少しではありますが解説させていただきます。
(多少のネタバレもあるためご注意ください。ほとんどあらすじの範囲内でむしろこれを読んでからドラマを見て頂いた方が理解していただきやすいかもしれませんが。ただし私も原作を読んだこともなくドラマも1・2話を軽く一度見た程度で曖昧な部分もあるのでご了承ください。)
<新規取引先の西大阪スチールに5億円の無担保融資>
支店長の手が回っているとはいえよく決裁がおりましたね。。
融資をする際、
決算書・格付け(過去の実績)・将来性、資金使途・返済余力、担保・保証人
等を見ます。
ドラマでは中島君(Hey! Say! JUMP)演じる2年目融資係の中村君がこれらを基に融資の稟議書を作成し上司である半沢融資課長へ提出しました。
その後支店の上司決裁を経て支店長決裁の流れとなります。
(本来なら半沢課長が修正すべきだったんですが席を外している隙に…)
ただし今回は本部決裁が必要でした。(金額や期間、金利、担保等によって)
半沢課長が融資実行前に本部にかけあっていたのや、
1話のラストで本部「現場のせい、本部は関係ない」、半沢「何のための本部(審査部)だ。」とやりあっていたのはこういう事があるためです。
無担保:会社が万一借入金を返せなくなると銀行は大きな損失を被るため不動産等を担保とします。
万一の際は差し押さえて競売にかける等します。(東京中央銀行は担保なしで融資しました。)
我々がお仕事させていただいている中小企業向け融資の多くは担保が必要なケースです。
今回は銀行単体の融資(プロパー融資)でしたが万一の際に第三者である信用保証協会が肩代わりしてくれる融資や、
政府系金融機関の日本政策金融公庫の無担保、無保証融資等もあります。
<計画倒産、差し押さえ>
2話で片岡愛之助演じる国税局査察部のオカマ黒崎と東田の個人財産である海外の別荘の差し押さえで争っていました。
半沢の銀行は西大阪スチールへ無担保で融資しています。
詳細はわかりませんが恐らく会社の連帯保証人として東田個人が入っていると思われます。
債権の優先順位があるのですが、
国税、地方税…メインバンク…半沢のいる東京中央銀行となります。
国税は脱税調査をしていて、隠し資産を探しあてそれを差し押さえようとしています。
メインバンク等は西大阪スチールの工場や事務所、土地、機械等を担保としているでしょうから(すでに押さえられている。)
東京中央銀行は誰よりも早く事実を掴み東田の隠し資産を差し押さえる必要があった、
というわけです。
<出向>
銀行に限らず多くの企業でありますが籍は置いたまま他社へ仕事に行く事です。
(出向税務については機会を見つけて説明させていただきます。)
ドラマではネガティブなイメージでしたが、必ずしもそうではないかと思います。
(他社のノウハウを仕入れて戻ってきて還元、子会社の役員となり経営を勉強し親会社で力を発揮等)
「やられたら倍返しだ!」と言っていますが今のところやられっぱないの「半沢直樹」、今後の展開が楽しみです。
大阪、京都、神戸、奈良/枚方(樟葉)、交野、寝屋川、高槻、八幡
30代税理士 竹下 和彦