消費税 簡易課税制度のみなし仕入率が変わります。
ご存知の通り平成26年4月1日より消費税率が変更となりました。
消費税は売った消費税(課税売上にかかる消費税)から支払った消費税(課税仕入れにかかる消費税)の差額を計算し申告、納付となりますが
計算期間(課税期間)の前々年(または前々事業年度)の消費税がかかる売上高(課税売上高)が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の 届出書を事前に提出している場合、課税売上高から一定の計算のもと控除できる消費税税額(仕入控除税額)を計算する事ができます。
簡易課税制度(国税庁HPより)
実際に計算する場合(本則課税)とこの簡易課税とどちらが税額が安くなるかの判定を行い所定の手続きを行うわけですが
平成27年4月1日以後に開始する課税期間から仕入控除税額を計算する基となる業種ごとのみなし仕入率が変更となります。
みなし仕入率
卸売業 第1種 90%
小売業 第2種 80%
製造業等 第3種 70%
その他事業 第4種 飲食店業、その他事業 60%
はそのままで
その他事業 第4種のうち金融業、保険業は第5種に分類され50%
サービス業等 第5種のうち運輸通信業、サービス業(飲食業除く)は第5種のまま50%
サービス業等 のうち不動産業は第6種が新設され40%
と変更になりました。
簡易課税制度のみなし仕入率のみなし仕入率の見直し等(国税庁HPより)
不動産業は消費税がかかる経費(課税仕入)が少ない、という事で保険業等と合わせて実態に即した改正といえるでしょう。
みなし仕入率が減少すると仕入控除税額が下り消費税が増額するため変更の対象となる 納税者は注意が必要です。
先に申し上げました通り平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されますが経過措置が設けられております。
先ほど添付しました
簡易課税制度のみなし仕入率のみなし仕入率の見直し等(国税庁HPより)
の経過措置の項目をご覧ください。
平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、 平成27年4月1日以後に開始する課税期間であっても当該届出書に記載した「適用開始課税期間」の 初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間(官位課税制度の適用を受ける事をやめる事ができない期間)については改正前のみなし仕入率が適用されます、
とあります。
わかりにくいので解説を
補足させていただきますと
簡易課税制度は計算期間(課税期間)がはじまるまでに届出書を提出しないと適用できません。(確定申告期限ではありません。)
基準期間の課税売上高(あえてさらっと書きました)が5,000万円超等の課税期間については 簡易課税制度が適用出来ないのですが、売上はほぼ同程度に推移し大きな設備投資をしたので 本則課税で計算し消費税の還付を受ける!! としようとしても簡易課税は2年間の縛りがあり変更する事ができません。
不動産業(第6種事業)の例((1)法人)を見ていただきたいのですが
①は簡易課税選択届出書の提出が平成25年3月1日以前ですので改正適用日 平成27年4月1日開始の課税期間につきましては簡易課税の2年間の縛りはなくなっています。
よって、この場合は平成27年4月1日開始の課税期間につきましては 税制改正通り第6種で計算となります。(経過措置対象外)
② は簡易課税の届出書を平成26年3月27日に提出、適用開始は平成26年4月1日開始の課税期間~となります。
2年間の縛りの期間は、平成26年4月1日開始課税期間・平成27年4月1日開始課税期間と改正適用日を挟みますが、経過措置として平成26年9月30日までに届出書を提出しているため今回改正適用日以降である平成27年4月1日開始課税期間も旧法の第5種で計算します。
2年縛りの終わる平成28年4月1日開始以後の課税期間は新法の第6種での計算となります。
③④は一見似ているのですが届出書の提出日によって税率が大きく異なるため注意が必要です。
平成26年9月30日までに「消費税簡易課税選択届出書」を新たに提出した事業者は、経過措置が適用され2年間の縛りの期間(平成27年4月1日開始課税期間、平成28年4月1日開始課税期間)につきましては旧法(第5種)での計算となります。
一方、平成26年10月1日以降に届出書を提出した場合には経過措置は適用されず改正適用日以降の課税期間(平成27年4月1日以降開始課税期間)は新法(第6種)での計算となるためご注意ください。
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30代税理士 竹下 和彦